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牧山 直紀のデベロッパーズブログ

牧山 直紀

2012/12/19

マッチングサイトはオープンソースでは妥協の産物になる可能性が高い

 

弊社では初期費用を抑えてサイト運営をしてみたいという方のために、マッチングサイトのパッケージをご用意させていただいております。

最初から必要になるだろう機能を汎用的に実装しているため、高機能で低価格とクライアントにとっても嬉しい商品で、また同時に弊社にとっても完全 にフルスクラッチ(0から作る)ケースよりも納品もしやすい商品であります。

マッチングサイトのパッケージはこちら 最近では、マッチングサイトのオープンソースなるものも出てきているみたいで、それなりにこの分野も成熟してきている感じがします。

ただ、多くのフルスクラッチの案件、パッケージの案件を納品してきて思うことは、マッチングサイトはパッケージ化するのが本当に難しいというこ とです。

オープンソースでさくっと作れてしまうようなものではない、ということなのですね。

マッチングサイトは求人サイトのようにシンプルではない

例えば求人サイトは、求職者を探している企業と、仕事を探している求職者をマッチングさせる、云わば求職マッチングサイトといえますが、この場 合、どのような分野でも一定のラインで双方のサイトに求める機能が同じといえます。

求人サイトのパッケージはこちら

求職者からすると、求人情報を検索してエントリーして、面接して、採用不採用通知をもらう。企業からすると、気になる求職者がいればスカウトし て、面接をする。

応募があれば、WEB履歴書で判断して、その先のステップに進む。

ある職種に特化する場合は、それに伴った項目の変更や、デザインの変更をするだけで、それなりの規模の求人サイトが短期間で出来てしまい、仕様が 大きく左右にぶれることもあまりありません。

ですので、パッケージを使わない手は無いと思います。自分自身も求人サイトを運用するならば間違いなくパッケージを使います。

ただ、マッチングサイトは違います。

求人サイトのように分野が違っても多少の項目カスタマイズでパッケージを導入できるかというとそうではありません。

分野によって、課金モデルが大きく異なってきて、その課金モデルによって、サイトの構成が大きく変わります。

具体的に説明していきましょう。

分野によって課金モデルが大きく異なる

徴収できる手数料が低い分野の場合、成約型成果報酬型課金は向かない

取り扱う分野によって課金モデルが異なる理由は、分野によって受注者と発注者間でやりとりされる金額が異なるところになります。

例として引越し一括見積もりサイトをあげてみましょう。

引越し一括見積もりサイトは、Googleで「引越し 見積もり」と検索すると、相当数のサイトが出てきますが、このビジネスモデルを分析するこ とで、マッチングサイトの企画の難しさを垣間見ることが出来ます。

逆にそれをしっかりと把握しておくことで、企画の段階でのリスク回避策を練ることも可能になるのですね。

引越しの一括見積もりサイトを使ったことがあるかたはぴんと来るかもしれませんが、サイトの内容として「引越しを考えている人」が住んでいる住所 と、引越し先の住所、また引越しの際に運んでもらう諸々の情報をフォームに入力して送信すると、その地域に対応している「引越し業者さん」に見積 もりが一括で送付され、それらの見積もりを受け取った業者さんから見積もりを受信することが出来るという、発注者「引越しを考えている人」と受注 者「引越し業者」間のビジネスニーズをマッチングするマッチングサイトと位置づけられます。

引越しといっても規模は大小ピンきりで、必然的にそれにかかってくる費用もピンきりになってきます。確実にいえるには不動産や求人系に比べると動 く金額は平均的にかなり低いといえます。

また、引越しは見積もるのに必ず依頼者の住んでいる場所へ実際に足を運んで依頼内容との差が無いかを確認してからの正式見積もりとなります。

金額が小さい場合もある、受発注者が実際に会わないと見積もりが成り立たない、ことから考えると、完全に成約毎の成果報酬として手数料を課金する ビジネスモデルは難しいと判断できます。

理由は、金額、つまり成約料金が小さい場合、そこから徴収する手数料も小さくなります。その小さな手数料のために、電話や、実際に仲介として人が 入り込んで成約の把握を追いかけていくのは不可能です。そこには人件費という経費がかかります。

また、受発注者が実際に会わなければ成り立たないため、受発注間のモラルが悪ければ、成約してもその成約の連絡が入ってこないケースも考えられ、 それらを把握するために人が動くには、同じく人件費がかかります。

5万円の成約料金に対して、20%という考えられないほど高い手数料を徴収したとしてもわずか1万円の事務局への手数料となり、その1万円を確実 に徴収するために、営業の人が丸1日(一括見積もりの場合、複数の業者への立会いなどをする必要がある。)をかけていたのであれば、完全に赤字の ビジネスモデルとなってしまいます。

そもそも20%という手数料自体が高すぎるため、実際にはもっとシビアな手数料形態になります。

以上のように受発注者間で動く単価が小さい場合、つまりそこから得られる手数料が小さい場合には、成約を追いかけるだけのコストをかけることが不可能に近く、それ故成約毎での課金モデルは難しいということになるのです。

では引越し一括見積もりサイトのような受発注者間で動く単価が小さいマッチングサイトの場合、どこで課金をしているかというと、依頼者から見積もりが発信されて、業者が見積もりを受け取った時点で課金が発生するようになっています。

細かな仕様はサイトにより異なりますが、運営管理が面にて企業ごとに、月ごとに課金額を確認できるようにして、末締めなどで請求するのが一般的と言えます。

この場合、成約まで追いかける必要も無く、受発注間の商談内容も把握の必要はありませんので、求人系などの人手が必要な人材マッチングに比べると、運営は比較的少人数でもこなせるビジネスモデルです。

ただ、例外もあり例え徴収できる手数料が低くても、翻訳やデザインなど、受発注者がお互いサイトから離脱して対面する必要の無い分野の場合は、サイト内にて納品までを完結できるため、成約毎という形でもビジネスを成り立たせることが可能です。

サイト内で納品が出来るかどうか、というのも、手数料の高い低いとあわせて考える必要があります。

まとめると、、、

徴収できる手数料が低く、サイトから離脱するケースが高い場合は、サイト外での取引になり、それを把握するのは不可能なので、見積もりに対して課金が望ましい。

徴収できる手数料が低く、サイト上で納品まで完結できる場合は、サイト内で納品物の管理、サイト内課金、サイト内メッセージなどで見積もりから、商談、納品から入金までをサイト内にて一貫して管理できる機能を実装してあげることで、成約型の課金モデルも可能。

ということになります。

徴収できる手数料が高い分野の場合、成約型成果報酬型課金は向いている

徴収できる手数料が高い分野、つまり受発注者間で動く金額が大きい場合は、成約を追いかけるために経費をかけることがかのうとなりますので、成約型課金が向いているといえます。

動く金額が大きくなれば、それに比例して案件の数も減少してくるので一つ一つの案件を大事にハンドリングして、成約まで見届けてそこから利益を得る必要があるため、全てをシステム化するのは難しく、仲介を必要とするか、直接仲介をしなくても、経費をかけて進捗を管理する体制が整っている必要があります。

受発注者間で動く金額が大きい、それはWEB上のメッセージボード上では成約まで至らないような案件がほとんど、というか全てで、やはりそこには受発注者が顔を合わせて打ち合わせをしたりする必要があります。

不動産、求人、施工関連、システム構築などは動く金額が数百万単位かそれ以上になることが予想されれますが、それらの分野はやはりメールベースで発注が決まるというものではありません。

ですので、人海戦術にてそれを把握できるようにするか、徴収手数料の単価を下げシステマチックにある程度成約を把握できるようにしなければいけません。

人海戦術の把握とは何を意味するのか説明していきましょう。

実際に弊社がある分野の企業を探していたときに私自身が発注者としてサービスを利用したことがあるのですが、発注者に対しては無料、受注者に対しては、年間受注額の50%を徴収するという結構高めの手数料を徴収しているビジネスモデルでした。

これにはからくりがあり、受注者はたとえ年間の受注額の50%の手数料を徴収されたとしても確実にペイが出来るビジネスモデルが成り立っている分野なのですね。この理由を説明してしまうと、何の分野か分かってしまうのでここでは説明しませんが、、、

重要なのはそこではなく、どのように運営事務局がその成約を把握しているか、ということになります。

これも驚かれるかもしれませんが、そこの運営事務局の方が弊社とのマッチングに適しているだろう企業を3社ほど、同行してお連れしてくれたのです。

もうこの時点で、運営事務局としてしっかりと顔を出し、存在をアピールしているので、そもそも「中抜き=成約を知らせない」ということはほぼ確実に防ぐことが出来ます。

3社の面談が終わったあとも、電話などで細かなサポートを頂き、また同時に先方企業へも同じようにフォロー、サポートをしていたようです。

弊社とその企業間で動く金額も大きく、またそこから運営事務局がマッチング成約料金として徴収できる手数料も大きく、それ故しっかりと両者をサポートして人海戦術にてマッチングを成約まで導く、というモデルです。

では、徴収手数料の単価を下げ、システマチックにある程度の成約を把握するとは、どのような意味なのでしょうか?

最近、お祝い金機能を実装している求人サイトが増えてきています。ジョブセンスという会社はこのお祝い金機能を導入して求人サイトで上場を果たしたました。もちろんお祝い機能がすごくて上場できたわけではなく、運営努力、ユーザ視点に立ったサイトの構造、完璧な内部SEO対策など、も大きく関係しているのですが、

このお祝い金機能は面白い機能で、受発注者(求人企業と求職者)間の成約をシステム的に把握をしようという目的で考案された機能で、「このサイトを通じて企業への採用が決定したらお祝い金を求職者に贈呈するから、採用決まったらお祝い金を申請してね!」となっているのですね。

ようは、上記で述べたように面接ありきのマッチングの場合は、運営事務局が一旦サイトから離脱した後のユーザの動きを把握するのは難しいということで、求職者にお祝い金と言う名目でお金を渡して、成約したことをしっかりと知らせてね!という成約通知機能の役割を果たしているのです。

この機能をもっても、全ての成約を把握できるわけではないので、まだ発展途上なアイデアかなと思うのですが、この機能に、少しの人海戦術な成約把握体制があれば、かなり制度の高いモデルへと持っていけるのかなと思うのです。

以上、超長文になってしまいましたが、何が言いたかったかというと、マッチングサイトは、上のようなことを理解せずに、オープンソースやCMSでさくっと作ってしまえる物では無いという事です。

分野、課金モデル、潜在的なユーザ数、競合サイトなど、調査、分析をして、そこから得た情報をもとに、マッチングサイトとしてのビジネスモデルを固めていかなければならないのです。

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