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牧山 直紀のデベロッパーズブログ

牧山 直紀

2013/12/15

クラウドソーシングの構築に関して

 

クラウドソーシングとは?

最近では、新たな雇用形態としてその概念がインフラとなりつつあるクラウドソーシングが注目されているようです。

「アウトソーシング=外注」は皆さん聞きなれている言葉だと思いますが、クラウドソーシングとはそもそも、何を意味するのでしょうか?

クラウドソーシング(CrowdSourcing)は不特定多数の人に業務を委託・注文するという意味になるのですが、クラウド(Croud)は群衆、大勢、人込みを意味し、ソーシング(Sourcing)は業務委託を意味します。ちなみに私は恥ずかしながら、クラウド=Cloud=雲と勘違いしておりましたが、それはさておき、群衆に業務を委託するといっても少しわかりにくいので、まずそこを説明していきましょう。

分かりやすい例がホームページの作成です。

まず、ホームページを作成しようと思い立った場合、まず「ホームページ 作成」などとGoogleで検索して、検索結果に出てくる業者から選ぶ、というのが一般的でした。

自分自身が積極的に検索をして、比較検討をするのですが、それはあくまでもGoogleの検索結果上位に表示をされている業者という狭い範囲の中での比較検討となるため、本当はもっと良いデザインを提供できる業者があるかもしれない、もっと低単価で良いシステムを作れる業者があるかもしれない、だが、そもそも検索に表示がされないので、存在自体を知り得ることができないというストレスがそこには存在していました。

そこで登場したのが、楽天ビジネスのような老舗大手クラウドソーシングです。

楽天ビジネスに、「こんなホームページを作成したい!」と登録すると、それを見たやる気のある業者が提案、エントリーをしてくれ、その中から業者を選定することが可能です。

Google検索は、思考がPUSH型である必要があります。積極的に考えて目的(自分の求めている業者)まで、たどり着く必要があり、個々のホームページを見て、個々に入力の異なる問い合わせフォームから毎度条件などを提示したりする必要がありますが、クラウドソーシングの場合は、希望条件を一度登録しておけば、あとは業者から提案が来るので、後は待てばよいのです。

同じ条件下の見積もりだし、提案を公平に比較できるし、評価などの第三者性もあるので、検討が容易になります。

また、デザイン業務やライティング業務のように、地域が縛られない分野の場合は、全国から業者を募ることができるので、相性、アイデア、価格などの要素にて、提案数分の選択肢が増えることとなります。

発注側、受注側両者の世界がぐんと広がります。

発注側からすると、今まで取引をしていた業者の全てが当たり前だと思っていたが世の中には、その業者と全く異なるアイデア、アプローチ手法、技術を持っている業者も多くあります。

例えば、専門性のあるプログラムを必要とする場合、今までの業者だといつも行っているやり方と異なるため、実装費用が著しく上昇してしまうケースが多いのですが、ただ、その専門のプロに任せれば、いつも行っている実装方法のため、既存の業者と比べて相当安く、早く実装が可能になります。

ただ、今までは、その専門のプロをこちらから積極的にGoogleの検索結果範囲内でしか探せなかったのです。それが今では、業者の方から積極的に提案を行ってもらえます。

実際に弊社でも経験のあることですが、クライアントからかなり特殊なJavaScriptの処理の実装を依頼され、社内でそれを対応しようとすると、かなりの時間がかかるという内容でしたが、クラウドソーシングでそこの部分のみをスポットで対応してくれるエンジニアを募集したら、なんとたったの3時間ほどで実装をしてしまい、実装費用も相当安く抑えることができました。

クライアントも、実装費用が安く抑えられまさにWinWinです。

受注者からしても同じです。

今までPULL型の営業になりがちだった業者も、クラウドソーシング上で公募案件にエントリーすることで積極的に仕事を取りに行くことが可能となりました。そこにはもうエリアという概念がありません。

特にエリアという概念が薄い我々のような業界では、日本国内だけでなく、海外のクラウドソーシングを利用して、海外へそれぞれの分野のエキスパートに発注することも可能で、実際にHTMLコーディングなどの単純作業を単価の低い国に発注をしている企業も多く存在します。

国内では、最近内職系のクラウドソーシングサービスが賑わいを見せていて、一時的に働きに出られない専業主婦はその期間だけを、日勤で仕事をやっている人家に帰ってから余った時間だけをクラウドソーシング上で働き、それなりに見合った収益を得られるようになったりなど、ライフスタイルそのものに影響を及ぼすようになってきています。

ライティングが得意な私の知り合いは、子供がまだ小さいので外に働きに出ることができないので、ずっと家で1時間一生懸命こなしても500円以下という内職をやっていたのですが、ライターのアウトソーシングサイトで仕事をしたら?と提案し、実際にそこで受注してみたのですが、まったく既存の内職とは違う、自分の得意な分野で、且つ時給1500円以上という報酬で大変喜んでいたのが大変印象的でした。

大げさではなく、なんだか世界が変わったと。

あまり得意ではない細かな内職を1時間こなして500円以下。 自分が得意なライティングという能力を活かし、1時間1500円以上。

それを可能とするサービスを知っているか知っていないかで、ライフスタイルは大きく変わります。

今後急速に、もっとニッチな分野などでも発展していくモデルだろうとだれもが予想しています。

クラウドソーシングとマッチングサイトは何が違う?

ここまでクラウドソーシングに関して説明しましたが、結局弊社が専門に構築しているマッチングサイトと全く同じ意味なのですね。

個人、企業問わず、仕事を発注したいユーザーと、同じく個人、企業問わず仕事を受注したい、請け負いたいユーザーをマッチングさせるサービスです。

以下にマッチングサイトに関して記事を書いておりますので、こちらもご確認いただけますと、もっと深くマッチングサイト、クラウドソーシングに関してご理解いただけるかと思います。

⇒マッチングサイトに関する記事

最近では、元々マッチングサイトと定義していたサイトも、流行にのり、クラウドソーシングと題しているサイトもちらほらあります。

少し意味合いは地会うのですが、他にもBtoB、BtoC、CtoCサイトなどと呼んだりもします。Bはビジネス(Business) のBで、Cはコンシューマー(Consumer)のCです。

BtoBだと企業間取引です。BtoCだと企業対個人。CtoCは、個人対個人になります。

クラウドソーシングの構築に関して

上記の通り、クラウドソーシングはマッチングサイトと全く意味が同等です。

ですので、手前味噌ですが弊社がマッチングサイトの構築を得意としているということ自体は、クラウドソーシングでも同じです。

ここでクラウドソーシングの構築に関して注意すべき点を解説していきましょう。

分野をまずは確定する

分野といってもいろいろあります。

つまり主婦なのか、学生なのか、企業全般なのか、個人全般なのかなどのターゲット層。そして、ITなのか、建築関連なのか、などといった業種。

楽天ビジネスのようにすべてを網羅するのはなかなか今からだと難しいので、やはり自分、自社の得意分野で構想したほうがその分野の特異性を理解できている分、オリジナリティを出せますし、懸念個所も予め把握した構築・運用が可能になります。

もちろんその分野には競合が存在するのか?また存在する場合、太刀打ちできるかの検討は必須になります。

課金モデルを考える

分野がある程度固まったら、それと並行して課金モデルを考えます。

分野が決まると、受発注者間でやり取りされる金額もある程度決まってきます。

このやり取りされる金額により、運営事務局がだれから、どれほどの手数料を徴収すべきかが見えてきます。

例えば、ロゴデザインなどであれば、単価が低い部類に入りますので、当然徴収できる手数料も低くなり、その低い手数料のために運営者が人的が受発注及びその後のやり取りに介入するのは経費的には難しくなります。

そうなると、低い手数料で且つ定額で、受注者か発注者に月額課金(月額課金のハードルはかなり高い)をするか、これまた低い手数料且つ定額を発注者に公募登録時に課金するか、または受注者に公募にエントリーする際に課金するか、と選択肢が絞られてきます。または、受発注システムを作りこみ、成約から納品までをサイト上で管理できるようにする必要があります。

弊社のマッチングサイトのパッケージは、機能として大は小を兼ねるということで、この単価が低い、高機能なステータス管理が必須とされるモデルに合わせて構築がされており以下の流れで、受発注が成されます。

公募の場合(個別発注も大体同じ。)
  • ①発注者が公募を登録。
  • ②条件合致している受注者に「希望に合っているお仕事が登録されたよ!」メール通知。
  • ③受注者が公募を見て見積、提案をエントリー。
  • ④発注者に「エントリー登録されたからマイページにて、エントリー内容確認してね!」と通知。
  • ⑤発注者はエントリー内容を確認して、ウェブ上のメッセージボードを使い、受注者と商談する。
  • ⑥発注者は受注者を選定し、成約通知をする。
  • ⑦受注者はマイページから成約を承諾する。
  • ⑧受注者が成約を承諾すると、入金待ちのステータスになるので、発注者が運営事務局に入金する。
  • ⑨運営者は入金が確認できたら、入金待ちのステータスを⇒作業完了報告まちに変更する。
  • ⑩作業報告完了待ちになったら、受注者は作業を始める。作業が終わったら、作業完了報告をする。
  • ⑪発注者は作業完了報告をうけたら、それを承認済みにする。
  • ⑫ここで初めて、運営者から手数料を引いた料金が、受注者に入金される。

つまり、公募にエントリーされたステータスは以下だけ存在します。

未決定 ⇒ 発注者がどの受注者にするか成約もお断りもしていない。
お断り ⇒ 発注者が受注者からのエントリーを断っている。
成約承諾待ち ⇒ 発注者が成約ボタンを押したが、じゅちゅ者ががまたそれを承諾していない。
入金待ち ⇒ 受注者が成約を承諾したが、発注者がまだ運営者に入金していない。
作業完了報告待ち ⇒ 発注者が入金をしたが、受注者の作業がまだ完了していない。
検収待ち ⇒ 受注者の作業が完了したが、発注者がそれを承諾していない。
検収済み ⇒ 発注者が作業完了報告を承諾した状態。

これらをすべてシステムで自動でステータスを追いかけ、時には催促メールが送られたり、運営者に警告通知を送ったりして、人ではなくシステムで検知をさせているのです。

大きな手数料を期待できない⇒人的リソースを使えない⇒システムで出来る限り監視・管理する他ない

という流れなのです。

上記の例はエスクローと呼ばれているのですが、発注額が運営事務局に一旦預けられる仕組みなので、その管理、つまり、入金の確認と、仕事が完了した時点で受注者に手数料を引いた報酬を振り込む作業が発生します。

あまりにも単価が低くなることが予想される分野だとこの案件出口で課金が発生する完全成果報酬型が難しくなりますので、やはり案件入口で課金をさせる方がベターかもしれません。

逆に受発注者間で取引される額が大きい場合はどうでしょうか。

取引される額が大きくなればなるほど、受発注者が直接会って商談を必要とする可能性が当然ながら高くなります。

数百万、数千万単位の額を取り扱う商材を、顔を合わせての商談もせず発注が確定するというのは考えにくいです。

また、取引額に比例して、これも必然なのですが商談から成約までの期間も長くなります。それだけ受注者も発注者も慎重になるのは理解できるし、システム的にそれをどうこうと催促してもユーザーから煙たがれるだけです。

そうなると、成果報酬として受発注者間の商談ステータスをむやみに追いかけるのは、大変難しくなります。

ですので、取引額が比較的に大きくなる案件を扱うクラウドソーシングの場合は、受注者から固定の月額費用での課金にしたり、公募へのエントリー毎での課金にしたりしています。

中には、完全に運営事務局が仲介で入り、案件が成約・クローズするところまで、見届けるというダイナミックな動きをしているケースもあります。それだけダイナミックな動きをしても、しっかりとペイできるだけの、手数料を徴収できるいうわけです。

※取引額だけでは課金モデルを決定できない特例的なケースも多々あります。

運用体制を考える

クラウドソーシング、マッチングサイトなどの運用に関してイメージが湧かない方が大変多いようですが、結構シンプルであります。

まずは営業活動です。受発注のサイトなので、まずは受注者がある程度の数がそろわないと、発注者にとっては魅力のないサイトに映ってしまいます。

そもそも、受注者が少なければ、多くの受注者から提案を受けたいという、クラウドソーシングのコンセプトに逆行してしまいますので、運用初期はとりあえず受注者をしっかりと確保することを考えて営業活動を行います。

企業を対象とするか、個人を対象とするかで営業手法は異なります。対企業の方が営業はしやすいです。テレアポ、DMの送付などが一般的である程度の企業リストはWEB上から取得することが可能です。

ただ、対個人の場合は、そのようには行きません。個人を対象としたテレアポは、個人情報保護法の観点から個人情報を入手する事自体が違法ととらえられていたりするので、結構ハードルは高かったりします。

ただ、企業に比べ個人の方が分母が圧倒的に多いため、その数だけ検索される回数=チャンスも多くリスティングの広告や、サイト上に、しっかりと個人が検索してくるだろうキーワードから逆引きしたコンテンツを盛り込んでいくことで、集客が可能となってきます。

運用初期は、一人か二人で開始されるケースが大変多いです。営業が多ければ多いほどもちろんベターなのですが、それだけ先行投資が許される大企業の一大プロジェクトでない限りは、その人数で運用は十分に可能です。

営業のほかに必要なのは、監視、管理です。

ユーザの情報や案件の情報に不備がないかなどを監視するのですが、これらは運営管理画面にて簡単に確認、管理が出来るようになっている、なっていないと運用できないのですが、ほぼそのようになっているはずなので、そんなにはりついて作業をするものでもありません。

運用初期から管理、管理に時間を割かなくてはいけないほど登録者が集まればそれはそれでうれしい悲鳴であります。

まとめますと、運用は、営業、サイトのコンテンツ作成、監視・管理が主な業務となります。

監視・管理は初期は時間をほとんど要さないので、営業とコンテンツ作成にまずは注力することになります。

以上が、アウトソーシングに関する諸々なのですが、運用に興味がある方は是非お問い合わせくださいね。

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